コンサルティングファームでは、プロジェクト単位でチームを組み業務に取り組む働き方が一般的です。
ただ、一般的な事業会社で固定的なメンバーと業務を進める働き方が基本となっている方にとっては、コンサルにおけるプロジェクトでの働き方がイメージしにくいようです。
そこで今回は、コンサルティングファームで基本的な働き方となるプロジェクトがどのような内容でどのように業務を進めるのかについてまとめてみました。
コンサルティングファームにおけるプロジェクトとは
コンサルティングファームで取り扱うプロジェクトは多種多様で、規模や期間、テーマ等も様々です。
それぞれのプロジェクトの特性や求められるスキルに合わせて、適性の高いコンサルタントがアサインされます。
システム導入に関するプロジェクト⇒ITコンサルタント
人事課題に関するプロジェクト⇒人材(組織)コンサルタント
経営課題に関するプロジェクト⇒戦略コンサルタント
上記のように、それぞれの領域に知見を持つコンサルタントがアサインされて、課題解決を目指します。
アサインされるコンサルタントの人員は内容や規模によっても異なり、例えば財務課題を解決するためにシステム導入も実施するプロジェクトであれば財務・会計コンサルタントに加えてITコンサルタントも合わせてアサインされる場合が多いです。
アサインされたコンサルタントに加えて、クライアント企業のプロジェクト担当者(企画者や技術者等)とチームを組んでプロジェクト完遂を目指す形になります。
プロジェクトの期間も様々で、1年以上に及ぶ長期的なプロジェクトから1~2か月程度で完結するプロジェクトもあり、コンサルタントは様々なプロジェクトに参画して実戦経験を積みます。
そしてプロジェクト完遂・クライアントの課題解決にどれだけ貢献できたかが評価され、しっかり成果を上げることで昇給・昇進のチャンスを掴むことが可能です。
コンサルティングファームの具体的なプロジェクト例
ここからは、それぞれのコンサルティングファームで実際に取り組まれたプロジェクトについて見てみましょう。
コンサルティングファームで働くイメージができるように、参考にして頂ければ幸いです。
外食チェーン店の価格設定見直し【ボストンコンサルティンググループ】
▼概要
売上の伸び悩みを抱える国内の外食チェーン店に対し、価格設定を見直すことでマージン上昇を狙う
▼背景
競争が激化する中で売上に伸び悩み、値下げは現状のリソース等により価格競争で負けてしまう。
よって価格上昇が現実的な策だが、10年以上変えておらず客離れリスクも懸念点となる。
▼プロジェクトの進め方
1.情報収集・分析(ベンチマーク/コスト構造/消費者意向)
2.オプション検討(社内のリソース、予算等を含めた実現難易度×利益インパクトで検討する)
3.実証実験(検討した内容を実店舗で試験的に価格上昇を実施)
4.決定・展開(実験結果を元に最終価格を決定し、各実店舗に展開)
実証実験では消費者のリアルな反応データを集めるため、複数の店舗で実施しています。全店舗一律でなく、それぞれの店舗で考えた価格で実施しました。
また、実験中は、1週間単位で見直しもかけて、且つクレームの有無やオペレーションでの懸念事項等についても確認しながらテストしています。
結果としては、既存顧客の来店頻度向上、新規顧客獲得により利益向上を実現することができたようです。
シェアードサービスセンターの運用を受託⇒社内のDX支援【アクセンチュア】
▼概要
日本マイクロソフトのDX支援(社員の業務オペレーション効率化)
▼背景
業務が肥大化してきた状況を受け、日本マイクロソフトの社員がより付加価値の高い業務に集中できる環境を構築したい
▼プロジェクトの進め方
1.業務実績をリアルタイムで把握できるように、チケット管理ツールを導入
2.スキルの問題、セキュリティリスク、社員の不安等を考慮しつつ業務プロセスを設計
3.シェアードサービスの運用を移管し、原則リモートワークに切り替え
アクセンチュアが進めてきた業務プロセス改善設計や、サービスの業務移管が功を奏してリモートワークの以降も迅速に実現することができたようです。
プロジェクトを完遂した結果、リードタイムや問い合わせ対応の削減に繋がり、社員は付加価値の高い業務に今まで以上に向き合えるようになったとされています。
サイバーセキュリティ管理態勢の構築【ベイカレントコンサルティング】
▼概要
サイバーセキュリティ管理態勢の中長期整備計画を策定及び実行
▼背景
システムリスク管理態勢に関する金融庁監督指針の改正、及びFISC安全対策基準に「サイバー攻撃対応態勢」が追加されたことをきっかけにサイバーセキュリティ管理態勢の見直しが必要に
▼プロジェクトの進め方
1.CSIRT整備計画の策定、組織化
2.サイバーセキュリティインシデント対応フローの整備
3.サイバーセキュリティに関する顧客窓口、広報体制の整備
4.情報共有機関やセキュリティ専門機関との提携
まず、短期間での優先施策を実施したところ、サイバーセキュリティ管理態勢で求められる一定水準をクリアすることができたようです。
優先施策の結果を踏まえたうえで、中長期整備計画に必要なコストも計算し、計画を推進した結果、適切なコストでサイバーセキュリティ管理態勢の強化に成功しています。
まとめ
コンサルティングファームのプロジェクトは多種多様で、現場によって具体的な業務や必要な知見も異なります。
様々なプロジェクトにアサインされてもコンサルタントとして活躍するためには、常に自分のスキルを磨き続けることが大切です。