監査法人とは、企業の会計監査を目的とした法人で、設立するためには5名以上の公認会計士を社員として起用します。
監査法人においての社員は一般企業の社員とニュアンスが異なり、業務執行の権利と義務を請け負う者、という意味です。
企業の会計監査を請け負う監査法人ですが、具体的にはどのような仕事をしているのでしょうか。
今回は監査法人の仕事内容や年収、キャリアパスや求められるスキルについて解説します。
監査法人とは?主な仕事内容
監査法人とは、一般的な民間企業と異なり利益を追求せず、企業の会計監査に従事する法人団体です。
具体的には、主に以下のような業務に取り組みます。
・企業の財務諸表の内容に誤りや粉飾等がないか、適正をチェックする
・財務上の課題解決をサポートするコンサルティング業務
第三者的な立場の監査法人が事業会社の財務諸表をチェックすることによって信頼性が担保されるため、監査を受ける企業にとっては企業活動を継続させるうえで重要な要素と言えるでしょう。
会社の規模が大きくなると、それに伴い担当する監査法人の公認会計士も人員を増やし、チームを組んで組織的な会計監査を行います。監査法人のほとんどの業務は、この会計監査です。
また、一部の監査法人ではクライアント企業の財務上の課題解決を目的としたコンサルティングサービスを提供する場合もあります。
コンサルティングファームでも財務系コンサルティングを行う場合がありますが、監査法人はあくまで会計監査が主な業務です。
主な監査法人【BIG4】
●監査法人トーマツ
●あずさ監査法人
●新日本監査法人
●PwCあらた監査法人
他
上記の4団体は会計監査界において最大手であることから、BIG4とも呼ばれています。世界規模の大手会計事務所のネットワーク・ノウハウを活かし、会計監査業務に注力する専門家集団です。
監査法人の年収は?
監査法人の年収は、600万円程度が一般的です。BIG4をはじめとする大手の場合、入社1年目~4年目で400万~600万円、5年目以降、役職が上がることで600万~800万円程度に伸びます。
着実に業務をこなし続けることで、マネージャーやパートナーになれば年収1,000万円以上にも届く可能性もあるでしょう。
準大手や中小監査法人の場合は上記よりも給与水準が下がりますが、監査法人は人員1人の能力が業責に大きく影響するため、高い年収を提示される場合もあります。また、BIG4よりも規模が小さい分、昇進のチャンスも多いでしょう。
監査法人のキャリアは?
監査法人になるためには、前提として公認会計士試験に合格することが必須です。また、監査法人の就職活動の期間も一般企業より限定的と言えます。
公認会計士試験の合格発表が11月半ば頃に、大手監査法人の選考が、11月下旬から12月前半に行われるため、監査法人に就職するためには新卒・中途を問わず計画的な行動プランが大切です。
監査法人の業務内容に関しては各社大きな違いはないため、それぞれの社風や働き方等が自身にマッチしているかを重視するようにしましょう。
監査法人のキャリアプラン
監査法人のキャリアパスとしては、主に以下のルートが挙げられます。
・自身が所属する監査法人で昇進を狙う(マネージャー、パートナー)
・FAS(ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス)に転職
・事業会社の経営企画部に転職
・コンサルティングファームに転職
FASは監査法人のネクストキャリアとして王道ルートの1つで、M&A等のコンサルティング経験を積むことが可能です。研修環境も整っているため、挑戦しやすい環境と言えます。
その他には事業会社の経営企画部や幹部候補、コンサルティングファームに転職するコースも有効です。
財務の問題は全ての企業が抱えるテーマでもあるため、監査法人で培った経験やスキルは様々な環境で活かすことができるでしょう。
公認会計士として培った知見を基盤に、戦略系コンサルタントとしてキャリアアップを目指すこともできます。
監査法人で活躍するために必要なスキルは?
監査法人で公認会計士として活躍するためには、財務の知識に加えて効率良く業務を進める情報処理能力やPCスキル、ITリテラシーが不可欠です。
会計監査の業務は膨大な資料を速やかにチェックし、不備や問題点を洗い出す作業の積み重ねになります。数字を読む力に長けていることも重要な要素の1つと言えるでしょう。
そして洗い出したデータを基に、企業の経営層と接する場面もあるため、コミュニケーション能力も求められます。
また、コンサルティング業務を担当する場合は課題解決策を提案する企画・プレゼンスキルも必要です。
ベースとなるのは高度な会計知識となりますが、そのうえでスムーズに業務を進めるための各スキルも磨くことで監査法人の中でも高い市場価値を持つ人材になることができます。
まとめ
企業がIPO(上場)を目指す場合、上場申請書類の一部である財務諸表は必ず監査法人の監査を受けなければなりません。
上場するタイミングも上場後も、第三者的立場である監査法人のチェックが入ることで、企業は信用を得て活動に取り組むことができます。
監査法人で働くためには、公認会計士試験に合格することが必須事項であるため、志す場合は入念に計画を立てて行動する必要があるでしょう。